(一社)千葉県臨床工学技士会

「輸液・シリンジポンプの保守及び安全管理について実態調査」の集計報告

一般社団法人 千葉県臨床工学技士会調査広報委員会 
佐々木 優二
岡澤 勝巳
三浦 國男

【目的】医療機関における輸液・輸注ポンプの使用状況及び保守点検状況等を調査し、医療機器の安全性確保のための課題・問題点等を把握する。臨床工学技士のいない施設における輸液・輸注ポンプが適正に管理され安全が確保されているか調査し、課題・問題点を把握する。
【調査概要】
(1)調査対象千葉県医療情報提供システムから抽出した病院285施設、診療所98施設を対象とした。
(2)調査期間平成28年2月27日から平成28年3月26日まで
(3)調査方法選択式、一部記述の郵送によるアンケート調査。
(4)調査内容病院全体の基礎調査及び輸液・輸注ポンプの使用及び保守点検に至る安全使用・適正使用に関する事項を調査する。【調査結果】
回収状況 対象:383施設
回答数:164施設
回答率:42.8%



回答施設数164施設のうち
医療法人が全体の7割を占めていた。


病床では200床未満までの施設で全体の74%を占めていた。



臨床工学技士の占める割合は117施設(71.3%)であった。また、臨床工学技士のいない施設は47施設(28.7%)であった。配置員数は10人までで全体の6割弱を占めている。


医療機器安全管理責任者は概ね臨床工学技士が就いており、次いで医師(16%)、看護師(12%)、診療放射線技師(10%)と続いている。


臨床工学技士数における開設主体別施設数


臨床工学技士数における病床数別施設数

「医療法人」において臨床工学技士の配員がいちばん多く、個人、地方自治体と続いている。病床数で比較すると100床未満に所属する臨床工学技士がいちばん多い。300-400床の病院で16-20人の割合が高くなっている。


問4:平均輸液ポンプ保有台数

平均輸液ポンプ所有台数は、病床数に比例するように大きい施設ほど多い。しかし、臨床工学技士がいない施設で見ると逆に病床数が大きくなるほど管理台数は少なくなる。これは診療科の形態によるものと推測される。


問4:平均輸注ポンプ保有台数

平均輸注ポンプ所有台数も輸液ポンプと同様な結果となった。輸液ポンプより所有台数は少ないが、500床以上の病院での所有数が目立つ結果となった。


問5 輸液・シリンジポンプの管理を行っている職種

機器管理は臨床工学技士がいる施設では技士による管理を行っている施設が大半だが、15%はその他の職種が管理をしているようだ。臨床工学技士のいない施設では、看護師が圧倒的に多く次いでメーカその他の職種が管理者となっている。放射線技師や薬剤師が行っている施設もあった。

問6:輸液・シリンジポンプの管理方法

管理方法は臨床工学技士のいる施設といない施設では大きく違い、技士のいる施設では中央あるいは一部病棟管理方法が大半を占めた。技士のいない施設ではそれぞれの病棟単位で看護師による個別管理が支流であった。


問7:輸液・シリンジポンプの点検内容(複数回答可)

点検内容としては定期点検が多く実施されているが、使用中点検はまだまだ少ない傾向であった。未点検の施設もあった。


問8:使用中点検の院内ラウンドの頻度

使用中点検は全体の28%の施設でしか行っていなく、 1日1回のラウンドを行っている施設が半数でした。さらに2回、3回以上点検を行っている施設もありました。


問9:定期点検の頻度

定期点検を行っている133施設を対象に調査した結果、1年毎の点検および6カ月毎の点検がほとんどであった。



故障対応職者はメーカに頼る傾向が多く、臨床工学技士による修理対応は58施設(35%)にとどまった。臨床工学技士のいる施設でもメ修理はメーカに依頼する施設が多いことが分かった。


講習会の参加状況は無しと答えている61施設の内訳は、臨床工学技士がいる施設では32施設(20%)で参加したことがないと回答している。臨床工学技士がいない施設では、29施設(18%)であった。



点検マニュアルの形態はさまざまであるが、メーカの者、院内で独自に作成されたものなど多岐にわたるようだ。点検治具もさまざまであるが、メスシリンダーを用いた基本的な点検が多い反面少しではあるが専用テスタを使用する施設も増えてきているようだ。


問13:点検に用いる点検器



職員向けの勉強会の頻度は保健所等の立ち入り検査の項目にもあり、1年に1回がいちばん多く、随時及び新入職者があった時などに行っている施設が多い

問15:勉強会に用いる資料(複数回答可)



勉強会の資料もマニュアル同様メーカからいただくことが多く、病院で独自に作成する施設は22%にとどまった。

参加できない職員へのフォロー体制も保健所の立ち入り検査項目にあり、ほとんどの施設で資料配布にとどまっている。しかし24施設(14.6%)の施設では複数回開催などの努力がみられる。

問17:アンチフリーフロー機能付きの輸液ポンプの保有台数

ここからは、平成15年3 月18 日に発出されました医薬発第 0318001 号「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」の回答になるが、アンチフリーフロー機能付き輸液ポンプの保有台数は、全体の30.8%にとどまった。既存のポンプの更新や新規購入時に安全を考慮しコストアップにはなるが選ばれていると考える。


問18:ニッカドバッテリーの定期放電の実施

ニッカドバッテリ―の放電作業は、全体で40%の施設で行われている反面、臨床工学技士のいない施設ではそれ以上に行っていなかったり分からないとの回答が多数を占めた。臨床工学技士がいる施設でも、行っていなかったり、わからないとの回答もあり、メーカや技士会のメンテナンス講習会の意義は大きい。

問19:千葉県臨床工学技士会が行っている医療機器の研修会はご存知ですか

研修会の認知度は、臨床工学技士のいない施設ではとても低く80%であった。臨床工学技士がいる施設でも20%の施設で開催されていることが伝わっていないことが分かった。


問20:今後、医療機器研修会への参加について

今後の研修会への参加では、全体で80%であった半面、臨床工学技士のいない施設では、20%の施設で興味がないとの回答であった。

【ご意見、ご要望】



ポンプの使用もあまりないので、定期点検をメーカーに2年に一度する程度です。アンケートを見て勉強会をしなければならないと思いました。


メーカ主催セミナーの質が高く、詳細に理解できる


医療機器研修会というと、呼吸器など自施設にない医療機器になると思っておりました。輸液ポンプや心電図等、日頃使用しているものであれば研修会に参加してみたいです。


各種医療機器研修の複数回実施を!


技師や専任や専従者はいないので研修に参加できないが、必要に応じてメーカの説明会を設けています。


研修会の参加数の増加または開催回数を増やしてほしい


現場のスタッフが理解し易い点検方法を研修していただきたい


参加費の安い勉強会を開いてほしい


実施しやすい医療機器の日常点検方法について研修会を開催して欲しい


専門ではない薬剤師が管理者をやっているため、適切な点検ができているか疑問です。中小病院で臨床工学技士がいない病院の管理方法を知りたい。


他職種の管理者向けに講習会を行って頂きたい(診療放射線技師)


透析クリニックのため、シリンジポンプは透析装置に装備されているものを使うため、シリンジポンプ単体ではほとんど使用しなくなっている。故障したら廃棄していく方面。輸液ポンプもほとんど使用していないので、今後の対応に迷っているところです。


毎月2日間戸田中央総合病院から出向で臨床工学技士が医療機器の点検をしています。


輸液・シリンジポンプに関する医療事故の発生事例と対応等をまとめた冊子の作成など、情報提供をお願いします。


輸液・シリンジポンプの勉強会の回数を増やしてほしい。もしくは定員を増やしてほしい。


臨床工学技士について必要性を強く訴えていますが、小規模施設ではなかなか配置困難なのが現状です。情報が少しでも入手できればと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

【考察】

千葉県臨床工学技士会のアンケートでは初めてとなる広範囲大規模アンケートであったが、回収率は42.8%と決して高くはなかった。今回の調査では、臨床工学技士のいない施設での輸液ポンプや輸注ポンプの安全管理体制や課題、問題点を探ることが主な目的であった。
臨床工学技士の配置は7割と県内の病院に浸透してきた感はあるが、病床数の少ない施設での採用は今だ少ないようだ。平成19年4月に発令された医療機器安全管理責任者であるが、半数近くの施設で臨床工学技士が担当しているが、技士のいない施設では医師や看護師が担っている。
これらの施設では看護師およびメーカによる管理が主体となっていている。
管理方法は各病棟単位での運用ではあるが、各種点検も病棟単位で実施しているようだ。個別の意見でも管理を任せられている看護師あるいは診療放射線技師、さらには薬剤師などから現状に対する不安と千葉県臨床工学技士会に対する要望が多数寄せられている。
しかしその反面、千葉県臨床工学技士会が行っている機器研修会の知名度はとても低く、興味があっても専門職以外の方が参加するには敷居が高いように思われた。当技士会が主催する機器研修会は臨床工学技士向けに行っているもので、他職種向けには案内はしていない。これらのニーズを鑑みて千葉県臨床工学技士会として機器研修会の在り方や協力を行っていく必要性を感じた。
臨床工学技士がいる施設でも研修会を実施していることを知らないと答えている施設があり、医療機器管理責任者自身が知らないのか、千葉県臨床工学技士会の広報不足か疑問が残る。また、研修会にあまり興味を持たれていない施設も全体の20%にあることから、研修会の内容についても今後検討しなければならない。

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