(一社)千葉県臨床工学技士会

「下肢末梢動脈疾患指導管理の新設に関するアンケート」の集計報告

一般社団法人千葉県臨床工学技士会 調査・広報委員会
会長 渋谷 泰史
調査・広報委員会委員長 佐々木 優二
副会長・委員 三浦 國男
委員 岡澤 勝巳

【目的】
平成28年度診療報酬改定に伴い、血液浄化療法関連において人工透析患者の下肢抹消動脈疾患指導管理が新設され、全患者を対象に月1回を限度として所定点数100点が加算されることになった。
今回、千葉県内各施設における対応と臨床工学技士の役割について千葉県臨床工学技士会として調査を行い情報交換に役立てる。
【調査概要】
(1) 調査対象
千葉県内透析施設165施設を対象とした。
(2) 調査期間
平成28年10月20日から同年11月20日
(3) 調査方法
  選択式、一部記述式の無記名回答
【調査結果】
回収状況 対象:165施設
回答数:77施設
回答率:46.7

回答施設77のうち、医院・クリニックが最も多く、45施設(58%)と全体の約6割を占めていた。
国公立と独立行政法人を合わせ、4施設(5%)と公的病院は、民間に比べ非常に少なかった。

回答施設77のうち100床未満が45(58%)と全体の約6割を占めていた。これは、回答施設が医院・クリニックなど有床数19床以下の施設が多かったためと考える。

臨床工学技士数は1~5人までが34施設(44%)が最も多く、人数が増えるごとに施設数は少なくなっていた。

診療科の標榜に関しては、内科系の循環器内科を標榜している施設は29(38%)と少なく、また外科・その他では、整形が22(29%)と最も多く、次いで皮膚科、形成外科と続いていた。

診療報酬算定のための、行政への届出している施設は52(68%)であった。


今回の新設加算に関わる、施設基準届出内の専門的治療体制を有している施設は、21(27%)施設であった。
今後専門的治療体制を予定している15施設と合わせても半数を超えていないことがわかった。

加算算定の頻度は、毎月行っている施設は44施設で回答施設の94%を占めていた。

加算算定を行っている患者数は、全員に行っている施設38施設と、回答施設の86%を占めていた。
今回の加算は全患者を一定の間隔で継続的に指導管理しなければならないが、6施設においては、実施されていなかった。


新規に血圧脈波検査装置を購入したのは、4施設と回答施設の6%であった。

新規に皮膚灌流圧測定装置を購入したのは、4施設と回答施設の6%であった。

血圧脈波検査装置は3社あったが、皮膚灌流圧測定装置は1社のみであった。

検査機器の保有場所は。血圧脈波検査装置は検査25施設、他の保有部署に比べ最も多かった。皮膚灌流圧測定装置は臨床工学技士5、透析室4施設と透析関連が最も多かった。

自施設内で血圧脈波検査を行っている施設は65施設で回答施設の86%を占めていた。一方、皮膚灌流圧検査は19施設と回答施設の25%であった。

血圧脈波検査の実施者は、臨床検査技師が41施設(82%)と最も多かった。一方皮膚灌流圧検査は、臨床工学技士が11施設と最も多かった。

各検査の実施は、血圧脈波検査が透析前27施設(54%)と最も多く、皮膚灌流圧検査は、透析中9施設(43%)と最も多く、次いで非透析日6施設(29%)の順になっていた。

加算算定の施設基準値から逸脱した際、専門的医療機関への紹介は、44施設70%を占めていた。また自施設に紹介は17施設(27%)であった。


加算算定の施設基準のABI0.7とSPP40mmHgとなっているが、実際の施設基準は、ABIが0.9と最も多く、SPPに関しては加算基準と同じ40mmHgが多かった。

ABI,SPPの基準値の設定に対しての根拠として、基準を設けず症例に応じて判断が8施設と最も多かった。

フットチェックを実施している施設は、65施設と回答施設の84%を占めていた。

フットチェックの実施者として、看護師が実施している施設54(70%)に対し、臨床工学技士が実施している施設10施設と回答施設の13%であった。

フットチェックの実施時間は、透析中が56施設と73%と最も多かった。

臨床工学技士がフットチェックしている施設で、業務として行っているのは、実施と検査記録が9施設、評価まで行っている施設は7施設であった。


ABI,SPP測定を臨床工学技士の業務として必要と思っている施設は21施設(31%)で、そのうち測定していない施設で必要と思っている施設は、8(12%)施設あった。



問10.下肢末梢動脈疾患指導管理加算についてのご意見、その他技士会に対するご意見
・今後、下肢抹消動脈疾患に関して沢山の発展が考えられるため、技士会でもその動向を講演会や勉強会などの形で支援していただきたい。
・技士が色々な機器を操作して色々な検査などを行っていくことは、今後の技士が増えた時期や自分たちの立場を確立していくためには良い事である。また、加算が認められることは施設、スタッフに還元されると思う。
・ABI・SPP測定に対し、臨床工学技士業務範囲・業務指針を技士会が通じて明確にしていただきたい。
・加算に関して現在前向きに検討中しています。フットチェックを含む業務の見直しを行っている。
・tcPO₂や下肢アンギオ、エコー、造影CT等制度の高い検査ができているのに加算が認められない矛盾を感じる。
・DMだけでなく透析をしているだけでもPADのリスクが高まるという視点で今後も不可欠と考える。
・ABI/SPP測定に臨床工学技士が介入することで透析室のチーム医療が向上する。
・他施設の取り組みや工夫が知りたい。
・下肢チェックは重要であるので今回の新設加算は当然である。

【考察】
 今回、調査広報委員会の血液浄化領域に関わる調査として、平成28年度診療報酬改定に伴い新設された「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」について、千葉県内の透析施設165施設を対象に、改定が行われた約半年後のタイミングに選択式と一部記述式によるアンケートを郵送にて実施した。
 回答施設は77施設で、回答率は46.7%と約半数の回答を得ることができたが、今回の新設加算についての関心度は決して高いものではなかったと考える。回答施設の内訳は、医院・クリニックと民間病院が全体の90%を占めており、病床数・臨床工学技士数と診療科の標榜なども、医院・クリニックを背景とした結果となった。
 本題である新設加算の実態として、行政への届出を行っていない施設が31%あったが、理由として、連携病院が無い・検討中などの改定から約半年後という時間的な問題と、フットチェックを実施していない・施設基準を満たせない・検査機器が無いなど、施設の対応に問題があることがわかった。また、算定基準に関しては、全患者を対象としているにもかかわらず6施設において実施されてなかった。
検査の実態として、血圧脈波検査装置(ABI)は検査室が多く、脈波検査装置(SPP)は透析室関連が多かった。測定タイミング・測定者はABIが透析前に臨床検査技師が行い、SPPは透析中に臨床工学技士が測定していたが、これに関しては測定時間など、短時間で測定できるABIと時間がかかるSPPの影響と思われた。
臨床工学技士の関わりとしてABI、SPPの測定を実施している施設は30%と少なかった。これは測定業務が臨床検査技師という概念と、院内にある検査室の存在などから生命時管理装置に関わる臨床工学技士がABI,SPPの測定を業務として捉えづらい環境が影響しているものと考えられた。しかし、13%の施設ではフットチェックまで実施しており、ABI,SPPを臨床工学技士の業務として回答した施設や会員からは、チーム医療としABI,SPP測定は業務として必要との意見や、臨床工学技士の業務指針として技士会が明確にして欲しいなどの要望があった。
今後、千葉県臨床工学技士会として下肢末梢動脈疾患指導管理にどう関わるべきか、課題や問題点を明確にし、
検討することが必要と思われた。
 

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