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新しい人工膵臓の可能性について
平成13年 日本工学院専門学校臨床工学科17期 卒1、2)、東京女子医科大学付属病院心臓研究所 人工心肺室1)、桐蔭横浜大学工学部 医用工学科2)、日本工学院専門学校 臨床工学科3)
○五十嵐 利博1)、鈴木 哲治2)、水島 岩徳3)、中島 章夫3)
1 背景、目的
現在の糖尿病の治療は病因の根源に対する治療ではなく対処療法である。これは基本的に血糖値という情報をもとに多種多様なインスリン製剤や注入方法により、糖尿病患者の血糖値のコントロールが比較的、生理的な状態に保つことを目的としている。しかしこの対処療法は、使用する測定装置類を管理するのは患者自身であり、健常者との決定的な違いは意識的血糖値コントロールとなる。現在の市販されているツールは痛みの軽減や汎用性を図っているが、針を刺入するという行為に抵抗を感じるはずであり、感染症の問題なども考えなければならない。 そこで現在の人工膵臓の現状を調べ、問題点・改善点を考慮しつつ新しい人工膵臓の可能性について検討を行った。また臨床工学技士として、糖尿病と関わる血液浄化業務における治療との関連性を見いだすこと目的とし調査・検討を行った。
2 人工膵臓の現状
現在の人工膵臓は、完全なる機械管理ではなく人間管理になっている。血糖値を自ら測定し、注入する薬剤量を人間が考え、自らの手によって薬剤を身体に注入している。
3 現在の人工膵臓の問題点
自己血糖を測定する際と薬剤注入時に針を身体に刺すために侵襲性を伴っている。ベットサイド型の人工膵臓では、カテーテル留置の際に感染性や抗血栓性の問題により長期使用ができない。
4 現在研究されている人工膵臓
・ 唾液分析式血糖測定器 ⇒測定の際における刺襲性の改善。
・ インスリン吸入剤 ⇒薬剤注入時における刺襲性の改善。
5 考察、結論
現在取り組まれている自己血糖測定法の改善によって、非侵襲的でかつ無拘束的に適応できる可能性があり、現在の保存的・対処的な治療から一歩踏み出した治癒を目指すことができると考えられる。ただし、機械管理に頼ると機能の向上と制御の正確さが要求される。現状では開発段階にあるこれらの技術は、既存の概念とは違った観点(例えば薬剤を注入して血糖値を制御するのではなく、生体からグルコースを抜くことによって制御するなど)から研究を行うことによって実現できる可能性があると考えられる。糖尿病から血液浄化へ移行する患者が増加している現在、臨床工学技士がこれら費侵襲的な血糖値管理の手法や人工膵臓の開発に関して問題意識をもって取り組むことが重要であると考えられる。