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乾電池による胃酸電気分解での水素ガス発生からの、電気メス引火の経験
奈良県立医科大学附属病院 中央手術部
○北原佳典、野口 幸、萱島道徳、
*則本和伸、*畑 倫明、*奥地一夫
【はじめに】
電気メスによる引火は、手術中の事故として過去にも揮発性の薬液、メタンガスなどで経験しているが、今回胃酸が乾電池によって電気分解され発生した水素ガスが、電気メスのスパークによって引火したと考えられる事故を経験したので報告する。
【経過】
分裂病患者が、新品アルカリ単三乾電池14個とスプーン2本を異食(3日目)したため、これらを摘出するために緊急開腹手術が施行され、胃を電気メスで切開すると同時にボーンと、音と白煙がたちあがった。幸い患者、術者とも火傷を負うことはなく無事手術は終了した。
【対策】
胃の手術の場合、事前に麻酔医より胃内チューブが挿入され、有る程度の胃内容物は吸引されている。しかし、今回このような事故が発生した原因として、2日間胃内に乾電池があったため水素ガスが発生し、水素が軽い気体のため上部にある気体は、胃内チューブでの吸引は十分にできなかったと考えられる。
今後は事前に術野からの吸引チューブでのガス抜きを充分に確認し電気メスの使用時の注意を促していきたい。